コトハグブログ

2021.07.25

石井式漢字教育とは

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言育(コトハグ)では、幼児期・学童期のお子様を対象に石井式漢字教育のカリキュラムを提供しています。今回は幼児期・学童期のお子様に「なぜ漢字教育が必要か?」ということをお伝えしたいと思います。

石井式漢字教育とは

幼児期・学童期における漢字教育の重要性は、教育学者であった石井勲(いしいいさお)氏によって提唱されました。石井勲氏は、幼児・学童期の子どもの「読む」という行為に焦点をあてたとき、「漢字はかなよりも易しい」ことを発見し、生涯にわたって幼児・学童期の子どもを対象に漢字かな交じり文を用いた言語教育を実践しました。石井式漢字教育とは、石井勲氏が実践した漢字かな交じり文を用いた幼児・学童期の子どもを対象とした日本語学習方法です。

子どもの記憶力は大きく2つの成長段階があると言われています。

第一段階は「機械的記銘(丸暗記力とも呼ばれる)」と呼ばれ、「興味・関心の対象になれば理屈抜きで覚えられる力」です。この記憶力は0〜3歳が最も高く、7〜8歳ごろから次第に低減していきます。

そして、「機械的記銘」が低下する7〜8歳ごろより記憶力の第二段階である「論理的記銘」と呼ばれる「物事を論理的・体系的に理解し認識する力」が高まっていきます。

一般的に、私たち日本人が日本語を習得するプロセスは、年齢を重ねるに応じて「ひらがな・カタカナの読み→ひらがな・カタカナの書き→漢字の読み→漢字の書き」という順番を追っていきます。したがって、小学校就学前はひらがな・カタカナを主に学習し、漢字の読み書きは小学校に上がってから行います。

しかしながら、ひらがな・カタカナはそれ一字では固有の意味を持たず、組み合わさることで単語になり、はじめて意味を持ちます。そのため、子どもたちがひらがな・カタカナの一字一字の形に意味的な個性を見出すことが難しく、大人にとってもひらがな・カタカナそれ自体に子どもたちの興味・関心をひきつけることが難しいです。例えば、「あ」と「お」が混ざってしまったり、「の」を反対に書いてしまう子どもに対して、「正しい形」を教えようとしても「こういうものだから」という説明になりがちです。

さらに、日本語には同じ読み方でも意味の異なる単語がたくさんあります。例えば、「かえる」は「帰る・変える・買える・替える・換える・飼える・代える・孵る・蛙」といった具合です。例えば、「かえる」とだけひらがなで書かれた紙を幼児期の子どもが見たときに、書き手の意図した「かえる」の意味を理解することはできません。これは、口頭のコミュニケーションでも同様で、「かえるよ」と言われた場合に「帰るよ・変えるよ・買えるよ・蛙よ」のいずれの意味かは、シチュエーションや話し手の口調、お互いの関係性など、総合的な文脈の中で決まるものだからです。さらに、大人にとっては簡単な2者択一の文脈判断であっても、「論理的記銘(論理的・体系的に理解する力)」が十分に発達していない子どもには理解できず混乱することは往往にしてあります。このような理由から、ひらがな・カタカナは「論理的記銘」が十分に発達してからの方が学習しやすいと考えられます。

一方で、漢字は一字で具体的な意味や内容を表し、一字が示す意味のブレが少ないため、子どもにとっては「絵」を見る感覚に近く、「目」で理解することができる直感的な言葉です。漢字学習を進めていくと、「漢字一字→熟語→文章」と理解できる意味の幅が広がり、理解できる意味の繋がりが増えます。そして、目・耳にする文章の単語ひとつ一つの意味を確定してから次の言葉を理解することが習慣化され、この習慣が「論理的記銘」の発達を助ける働きをします。

読解力は「勉強のための勉強」であり、学校の授業で先生の話が理解できなかったり、教科書に書いてある内容を理解できないといった遅れが、学習意欲を低下させるといった悪循環を生みます。したがって、初等教育から高等教育にかけての連続性を考えると、知性の根幹をなす「言葉」の習得に腰を据えて取り組むことができる幼児期・学童期は極めて重要です。

このような考え方のもと、言育(コトハグ)では幼児期・学童期のお子様を対象に「漢字教育」をカリキュラムとして提供しています。

なお、石井式漢字教育では、生徒のお子様に漢字を無理に暗記させることはしません。漢字かな交じり文で書かれたたくさんの物語に触れることで情操や集中力を高めます。またたくさんの音読経験の中で豊かな語彙(内言)を身に付けることで、言語能力の発達が促されると同時に読書習慣を育みます。